紹介
数学を如何なる学問であり、如何なる方向を目指しているか?数学的精神の歴史は古い。おそらく人類の起源とともにあったであろう。しかし今日、数学は、われわれの日常生活とかけ離れた抽象的で無味乾燥な学問と思われている。本書は、このようなわれわれの常識(偏見)を見事にくつがえしてくれる。日常の具体的生活のなかから人間精神の産物としての数学の世界への道筋を示す著者の筆は平易で説得的である。例えば、ジャガイモを量る問題から「素数」「算術の基本定理」など整数論の中心問題へ、ある長方形にタイルを敷きつめる問題と電気の理論の予想もしない密接な関係、セールスマンの道順の問題からトポロジーの基礎へ、記憶の輪とコンピューター、数のいろいろな表わし方とメートル法、等々。内容は、現代数学のすべての面にわたっている。中学生から一般の大人まであらゆる人々に読めるよう平易な叙述で周到に構成されており、人間の創った宇宙=数学の花園へのすばらしい案内書である。
目次
重さを量る問題
素数
算術の基本定理
有理数と無理数
タイル張り
タイル張りと電気
高速道路検査官とセールスマン
記憶の輪
数の表わし方
合同
ふしぎな代数
直交する表