紹介
越中ゆかりの万葉歌をたずねるすべての人へ。
「越中万葉」とは、『万葉集』編纂に大きく関わった大伴家持が、越中守に任ぜられ、いまの高岡市伏木にあった国庁に赴任し、越中国で詠んだ歌々を中心とした三三〇首を称するもの。
本書は、越中の万葉故地を訪ねるよすがとなるように、越中万葉歌碑の所在を地図にした案内書で、「越中万葉歌碑」をめぐるための小さな参考書というべき書。歌碑の多くは、公共交通手段の皆無な土地に建っていますが、できるだけ丁寧に説明しました。写真多数掲載。フルカラー。
執筆は、坂本信幸、新谷秀夫、関 隆司、田中夏陽子、井ノ口史、大川原竜一。
【…万葉集に歌われた土地を訪れ、能因が、西行が、歌を残し、芭蕉が句を残しという具合に歌枕の地には重層的に文化が合わさっています。そこをたずねることは古人のこころをたずねることにつながります。ことに万葉集の歌は現場性が強く、歌の詠まれた故地を訪ねる旅が全国の愛好家によって行われています。海山の景観は、古今に大きな変化はありません。私たちは今でも、家持や芭蕉が眺めたとほぼ同じ「有磯海」の景観を目にすることができるのです。
本書は、越中の万葉故地を訪ねるよすがとなるように、越中万葉歌碑の所在を地図にしています。是非本書を携えて、越中の万葉故地を訪ねていただきたく思います。】…刊行にあたって(坂本信幸)より
■大伴家持(おおとものやかもち)
養老2年(718)に生まれた奈良時代の貴族・歌人。大伴氏は大和朝廷以来の武門の家柄であり、祖父安麻呂・父旅人とともに律令制度下の高級官吏として活躍した。奈良時代後期の政争を生き延びた家持は、延暦年間には従三位中納言まで昇った。それとともに、『万葉集』の編纂に関わる人物として古代和歌の世界においても大きな足跡を残している。
天平18年(746)に越中守となった家持は、5年間の赴任期間中に、越中の自然と風土の素晴らしさを223首もの歌に残した。この家持の歌を中心とした337首を「越中万葉」と呼びならわしている。
目次
刊行にあたって(高岡市万葉歴史館館長・坂本信幸)
・大伴家持がみた越の国、万葉のふるさと高岡とは。
・万葉故地を紹介!
■歌碑めぐりMAP
能登・富山地図
1 射水郡[射水市・氷見市・高岡市]
1高岡市・射水市図
「越中国府」周辺
2越中国府・二上山周辺
3高岡市万葉歴史館周辺
4高岡市能町
5高岡市石瀬
6高岡市中田
「奈呉の浦」周辺
7放生津周辺
8越中大門駅周辺
9布目沢周辺
「布勢水海」周辺
10氷見から羽咋
11阿尾城周辺
12上庄川左岸排水機場周辺
13加納八幡神社周辺
14布勢水海旧跡
15十二町潟水郷公園周辺
16速川公民館周辺
2 礪波郡[砺波市・小矢部市・南砺市・高岡市]
17小矢部市・砺波市・南砺市
18小矢部市周辺
19源平ライン
20砺波市井栗谷周辺
21南砺市岩木周辺
3 婦負郡[富山市]
22富山駅周辺
23呉羽山周辺
24富山市岩瀬浜駅
25富山市金屋
26婦中鵜坂駅周辺
27富山市新庄
28富山市八尾
29富山市松川べり
4 新川郡[滑川市・上市町・立山町・舟橋村・魚津市・黒部市・入善町・朝日町]
30黒部宇奈月温泉全図
31宇奈月町浦山駅周辺
32魚津市木下新・持光寺
33魚津駅周辺
34魚津水族館周辺
・本書掲載・歌碑万葉歌一覧
・高岡市万葉歴史館周辺地図
・高岡市万葉歴史館案内