紹介
2009年4月に設立された新しい学会「西行学会」の機関誌、「西行学」の第六号です。
この学会は、「巨人」「自由人」たる西行を発見すべく、文学、宗教、歴史、地理、民俗、芸能、説話伝承等、ジャンルを超えて、「西行学」の名の下に、開かれた場を作ろうとするものです。
越境する西行、脱領域する西行を、「西行学」の名の下に再構築していきます。
本号は、大会講演記録3本、大会シンポジウム「伊勢と西行」の記録2本を収録。また、冬季福島猪苗代大会の講演記録は2本、シンポジウム「天満宮と西行」の記録2本を収録。他に4本の研究論文、【西行ノート】【分野別西行研究史概観】【西行文献目録】【西行学の名著】【書評】など、「西行学」としての輪郭を構築すべくぬかりなく各所へ目を配った内容となっています。ぜひ一度お手にとってご覧下さい。
目次
【大会講演記録】
仮名の新体形成と西行●魚住和晃
西行と伊勢の大神宮●岡田 登
伊勢・志摩の熊野観心十界曼荼羅●小栗栖健治
【大会シンポジウム記録 伊勢と西行】
総括●小林幸夫
平安末期宗教思想史と西行―〈伊勢〉とは西行にとって何だったのか―●舩田淳一
「伊勢」を通して考える西行の作歌活動●平田英夫
熱田の西行―熱田社と天照大神―●小林幸夫
【研究論文】
江戸の今西行―似雲覚書―●神作研一
西行が高野から寂然へ贈った十首歌について●橋本美香
我拝師山の成立から西行の歌集まで●野中寛文
『宮河歌合』本文再考●五月女肇志
【冬季福島猪苗代大会記録】
西行学会冬季福島・猪苗代大会の記録●松本孝三
桧原峠を越え行く西行―近世奥羽の地誌に見る伝説成長の一事例―●菊地 仁
小平潟天満宮の再興と初代会津藩主保科正之の業績●小桧山六郎
猪苗代町小平潟の「西行戻り橋」―兼載、天神、小平潟をめぐって―●花部英雄
天神信仰と「西行」●西澤美仁
福島県浜通りの西行伝承―冬季福島猪苗代大会の臨地研修から―●小堀光夫
【西行ノート】
『山家集』の原風景を求めて―信夫の里と勿来の関跡・福島羽黒神社―●名古屋茂郎
【資料紹介】
巡見使の書き留めた西行伝説―『享保二酉年奥羽二州巡見日記』(酒田市立光丘文庫蔵)―●錦 仁
【西行文献目録】
西行関係研究文献目録(総合版)―二〇〇三―二〇〇四年―●西行学会編
西行関係文献目録(地方文献版)―静岡県西行伝承文献―●蔡佩青編
【西行学の名著】
五来重『高野聖』―西行「俗聖」論のインパクト―●阿部泰郎
【分野別西行研究史概観・西行文献目録】
西へ行く西行―英語圏に於ける研究と享受―●ジャック・ストーンマン
平成27年度第7回西行学会大会プログラム
西行学会の記録/入会案内/投稿規定/西行学会会則/編集後記
カバー図版出典
「西行法師行状絵巻」巻三・十五紙(所蔵・センチュリー文化財団)