sugarさんの書評 2020/09/23
マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント
音部 大輔(著)
著者はP&Gでブランドマネージャーを務めた方でマーケティングを俯瞰的に捉えることが出来るほどの百戦錬磨である。
そのためそれぞれの言葉の定義がはっきりとしている。
例えばマーケティングとブランディング
共に「消費者の認識に作用して、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動である」が
マーケティングは「属性の順位を転換して市場を創造する」ことを目指す。結果的に、ニーズを作り出すことにつながる。
一方、ブランディングは「ブランドの意味の確立」を目指す。
ベネフィットを作り出すことにつながる。
また”戦略”とは目的を達成するための資源活用の指針である。
つまり、戦略とは目的と資源である。
目的を明確に説明できるようでなければならないと説く。
最後に『パーセプション・フロー・モデル』を用いてマーケティングの設計図を描くことを提唱している。
パーセプションフローモデルは従来のカスタマージャーニーマップとは以下の3点において異なっている。
① カスタマージャーニーは4Pのプロモーションとプレイスに注目した「行動と接点」の記述であることが多いのに対し、パーセプションフローモデルはプロダクトやプライスも包含したすべての4P要素による「認識の変化」を中心としている。
② カスタマージャーニーは「現状の記述」であるのに対し、パーセプションフローは「これからの全マーケティング活用の設計図」である。
前者は過去から現在に基づいた活動の最適化を促し、校舎は未来の計画立案をもたらす。特に属性順位の転換をして「いい〇〇」を再定義する市場創造には不可欠なものとなる。
③ カスタマージャーニーはカテゴリーごとなので競合でも似たものになるのに対し、パーセプションフローはブランドごとなのでブランドに固有のものになる。
前者はカテゴリー内での相対的な弱点を把握するのにも適する。
対して、後者はブランドに固有の意味を構築するブランディングの設計に必要である。
つまり、パーセプションフローは企業、ブランドにより固有のものとなるため別部署であっても同じものが適用され、一気通貫なブランド構築に優位であろう。
このように言葉は正確でまさにマーケティングの権化
しかし、それは抽象的過ぎて腑に落ちない部分が多い。
平易な言葉であるが、説明のみに終始しており実践的ではなく感じてします。
最後のパーセプションフローも突然、出現しておりそれ以前の内容と合わず、困惑する。
かなり散文となっており、マーケティングについて書かれているのに目的の一貫性に欠ける印象を受けた。
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