sugarさんの書評 2020/08/29
読書は格闘技 (日本語) 単行本 – 2016/4/26
瀧本 哲史 (著)
この本は著者の「本を読む意味」を事例を示しながら、まさに格闘した結果を示したものである。
著者はよく尋ねられる「オススメの本は?」に窮するあまり、自分にとっての本の定義を押し付けるのではなく、事例を示し、そこに出てくる本をオススメとしている。
そこに記されている内容は、事例として挙げられた本の内容以上に著者が解説を加えており、読み手はより深い予備知識を得られ、事例の本に惹きつけられる。
本は書かれている以上の背景や知識があるとこれほどまでに豊かになるのかっと気づかされる内容である。
つまり、著者の考えが冒頭に凝縮されて記載されているが、ドイツの哲学者ショウペンハウエルが読書を批判的に捉えた「読書は、他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく」に対して、格闘を挑んでいる。
そうではなく、「読書は入り口であり、そのあとに戦うのだから大きな意味がある。」と
そのため著者が読んだ本の中で、わかりやすく対比された本を紹介し、それぞれの基準値からみた内容の精査によって、読むだけではない、本当の読書の重要性を説いている。
そこに出てくる本は対比されたものだけでなく、多くのものが例示されている。
著者の幅広く、示唆に富んだ批評は、時に勉強になると同時に批判が出来ない自らの無教養を自覚してしまう冷や汗ものだが、自分の好きな本がなかった時点でリングにも上がれず、批評もできないので難しさも感じる。
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