紹介
観光マーケティングはズレている。すぐ模倣され、汎用品・低価値にされる時代。高付加価値、差別化の鍵は「歴史」にこそあった。大事な点はハード(城や古民家)だけが歴史文化ではないこと。歴史とは模倣できない地域性だ。文献資料などのソフトこそ、地域ブランドを生む無形資産として大きい。経済的価値のみ重視し、歴史文化を破壊する手法は否定し、各地で観光と歴史文化の共生に取り組む実践者にして研究者が実例を基に理論と手法を具体的に解説する。■ブランドの創出とは、「勝つための競争」から「負けないための競争」へ転換すること。■認知拡大だけでは需要は生まれない、歴史的景観だけでは消費につながらない■ハードはいずれコモディティになる【目次】はじめに――コモディティ化が進む世界第一部 観光によるヒストリカル・ブランディング第一章 保存vs.開発を超える――北海道小樽運河 第二章 無形価値を可視化する――千葉県佐原の大祭第三章 ヒストリカル・ブランディングの理論――観光による地域ブランディングコラム一 歴史文化観光を推進しても上手くいかない――失敗の検証一第二部 商品開発による地域ブランディング第四章 地場産業のブランド化――千葉県横芝光町の大木式ソーセージ第五章 ファンコミュニティによるブランディング――熊本県菊池市の菊池一族第六章 ヒストリカル・ブランディングの理論――商品開発による地域ブランディングコラム二 歴史文化観光を推進しても上手くいかない――失敗の検証その二第七章 ヒストリカル・ブランディングの持つ可能性――イノベーションを起こす歴史活用コラム三 実践する上での注意事項終章 「勝つための競争」から「負けないための競争」へおわりに主要参考文献一覧
目次
はじめに――コモディティ化が進む世界
「勝つための競争」ではなく、「負けないための競争」へ/歴史を活用するにはブランディングが必要だ 等
第一部 観光によるヒストリカル・ブランディング
第一章 保存vs.開発を超える――北海道小樽運河
北海道で起きた事象は、日本でこれから起こることの前触れ/保存派と埋め立て派の論争/「意図せざる観光化」からブランディングの百年へ 等
第二章 無形価値を可視化する――千葉県佐原の大祭
江戸優りのまち/無形価値を可視化する方法/景観を取り戻せ/「佐原の三悪」が観光の目玉になる 等
第三章 ヒストリカル・ブランディングの理論――観光による地域ブランディング
二つの地域ブランディング/違和感がある「観光」マーケティングの正体/観光地のコモディティ化/観光地の競争力には持続可能性も重要/歴史は差別化戦略となる/インターナルマーケティングを助ける 等
コラム1 歴史文化観光を推進しても上手くいかない――失敗の検証一
認知拡大だけでは需要は生まれない/歴史的景観だけでは消費につながらない 等
第二部 商品開発による地域ブランディング
第四章 地場産業のブランド化――千葉県横芝光町の大木式ソーセージ
レジェンド・オブ・ソーセージ/合意形成のハードルを越える/「ソーセージの日」を制定する/未来はひっそりと始まる 等
第五章 ファンコミュニティによるブランディング――熊本県菊池市の菊池一族
九州の首都を宣言した地域/歴史固有の課題を超える/サブカルやアートとの融合/SNS戦略/菊池が菊池であるために 等
第六章 ヒストリカル・ブランディングの理論――商品開発による地域ブランディング
歴史を通じたブランド拡張/関係人口より広い概念、マーケットタイ/ハードだけが歴史文化ではない/ハードはいずれコモディティになる 等
コラム2 歴史文化観光を推進しても上手くいかない――失敗の検証その二
歴史にあぐらをかかない 等
第七章 ヒストリカル・ブランディングの持つ可能性――イノベーションを起こす歴史活用
食のイノベーションを歴史が起こす/歴史がまちをイノベーションする 等
コラム3 実践する上での注意事項
実践前――歴史は消失しないが、記憶からは無くなる/実践時――専門家をつなぐコーディネータ―の育成を/実践後――時代の変化に対応するため、データでモニタリングする 等
終章 「勝つための競争」から「負けないための競争」へ
ヒストリカル・ブランディングが繋ぐ歴史と経済/経済的競争から価値的競争へ/今日は未来の歴史になる 等
おわりに
主要参考文献一覧